自閉症スペクトラムについて
こんばんは。
今日はこれで3回目の投稿となります。
現在,ジモティで「発達障害についての理解を深め,一緒に生きやすい生き方を考えよう!」という(ニュアンスの)テーマで相談窓口を作ったのですが、ありがたいことに数名の方からお問い合わせいただいております。
その中で圧倒的に多かったのが,自閉症スペクトラムを持つ人に関する悩み相談でした。
ネットで調べたらすぐに出てくる世の中ですが,ここでも自閉症スペクトラムについて書いていきたいと思います。
自閉症スペクトラムはいきなり考案された疾患名ではなく、いくつかのプロセスを経て生み出されたものなのです。
「自閉」「自閉症」「自閉症スペクトラム」「自閉的精神病質」の4側面から自閉症スペクトラムを理解しましょう。
まずこの回では「自閉」について紹介していきます。
【自閉とは】
Bleuler Eは1911年,統合失調論の中でこの語を用い,現実との関係にかかわる複合的な機能の障害で,外界との接触が減少し内面生活が病的に優位に立ち,現実からの遊離が生ずる現象と書いています。
Bleulerは、自閉をFreud Sが「自体愛」と呼んでいるものとほぼ同義であると書き,また,Janet Pが否定形で「現実感喪失」と名付けたものを肯定系で述べたものであるとしています。
Freudは精神病と神経症における現実の喪失のあり方の違いを論じ,神経症では自我が現実に従って自我の一部を抑圧するのに対し,精神病では自我がエスに奉仕して,現実の一部から退くと書いているが,この考え方は自閉に概念に近いものです。
MinkowskiEは「現実との生きた接触の喪失(Perte du contact vital avec la realite)」の中で,「貧しい自閉(autism riche)」という概念を提示し、自閉というあり方が決して単なる陰性の事態であるだけのものではなく、多様な行動様式を伴うものであることを示しました。
また、Binswanger Lは「失敗した現存在の三形態」の中で、思い上がり、ひねくれ、わざとらしさという存在様式を示し、世界とのかかわりのあり方の偏移として自閉を記述してみせました。
以上のような統合失調症の病理として論じられる自閉概念の一方で、自閉という言葉は自閉症概念との関連で重要となります。
Kanner Lは生後早期に発症し、独特の社会性の障害と言語の遅れ、そして同一性保持への強いこだわりを示す一連の病態を疾患単位として示し、自閉症という概念を提示しています。
この際、autismeという言葉はBleulerの統合失調論を意識して用いられています。
また、Asperger Hが言語の遅れのない広汎性発達障害例を記述し、提示した際も、autistiche Psychopathen という言葉を用い、これが自閉症候を主症状とする病態であることを明確にしています。
統合失調症における自閉と自閉症における自閉の異同は、精神医学にとって重要な議論の的となっています。
「縮刷版 現代精神医学辞典」弘文堂(2016)
p.442より引用。一部改変。
今回は「自閉症候スペクトラム」を理解する前段階として「自閉」の紹介をさせていただきました。
精神医学の用語は、さまざまな議論をされた結果、それぞれの疾患名に分類されているため、疾患の理解や鑑別(他の病気との違いを見極めること)が難しいことが多々あります。
今現在でも議論をしている疾患もあるため、「1+1=2」というような明確な解答が用意されているわけではありません。
DSM-Ⅴという精神医学会では知らない人のいないくらい有名な本があります。精神疾患の診断基準、診断分類について詳細にまとめられたものです。
しかしこの本には批判的な声も多く、絶対的に信頼のおける本というわけでもありません。
そのため、自閉症スペクトラムを理解するときは、まずは大まかな枠組み(主症状)を理解して、次に細かい部分(他の疾患との違い)を理解するように努めると理解が得やすいと思います。
今回はほとんどが時点からの引用となったため、難しい言葉が多く出てきたと思いますが、大まかな雰囲気をつかめれば大丈夫です。
次回は自閉症についての紹介していきます。
今日の日中、作業机の上に放していたら、お茶ペットボトル外に付着した水滴をひたすら舐めていました。
喉が渇いていたんだね…
(水あげるの忘れてた)
10分ほど放置した後にダンボールに帰しました。
それでは。